
友人Yちゃんがシンガポールから一時帰国したので我が家に泊まっていた。そこで日曜日はYちゃん、MIHO、私で軽井沢に足を伸ばした。旧軽井沢の表通りは予想通り混雑しており、少し並んでいつも立ち寄るパン屋「浅野屋」で昼食をとった後は人の多い表通りから横道に入り別荘地を歩いた。
雑踏が消えると、コアカゲラ(キツツキの一種)のこえや、木漏れ日、爽やかな風が心地よかった。
軽井沢は多くの文人に愛された避暑地であり、室生犀星もその一人だ。別荘地の川辺から少し奥まったところに犀星の旧邸の日本家屋があり無料公開している。庭は苔が生え飛び石があるひっそりとした佇まいだ。犀星が好んで座っていたという母屋の縁側に腰掛け庭を見ると、その当時はまだ若木だったろう楓が庭を落ち着かせている。軽井沢の別荘地には日本家屋は多くないが、今は木々が景色を纏まったものにしているのだろう。なんとゆったりと静かな時が持てるのだろう。

軽井沢のいいところは、少し外せば静かになることだ。アウトレットモールなどの雑踏も人らしくていいのだろうけど、折角軽井沢まで来ているのだから、追分を抜けて堀辰雄文学記念館などに行くのもいい。馬酔木の季節や秋の紅葉の頃は庭が素敵だ。
今回は涼みに行きたいというのもあって軽井沢町の中心街から車で半時間ほどのところにある「白糸の滝」に向かった。この名を持つ滝は全国にあり、いつか全国の「白糸の滝」を歩いてみたい、というようにも考えているが、まだ、滝マニア、滝オタや滝萌えではないので先にとっておきたい。
駐車場から5分足らず山道を歩くと、白糸の滝はその不思議な姿を現す。岩盤層から伏流水が流れ出る潜流瀑(せんりゅうばく)だ。緑に映えるなんて美しい滝なのだろう。水や空気が冷たい。雑踏を抜け出して来た人々がいて、人は多いけれど、水の流れる音に山の樹々に人の雑音が吸い込まれていた。秋の紅葉の時、冬の雪の中に流れる姿はまた格別なのだろう。
また来よう、と思う。今回のYちゃんはとっても忙しい日程だったから、こんな時間が少しでも持ててよかった。
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